ALSA Project Master

コミュニティーの構築

~地域、都市の境界を越えて~

ウィルソン教授との対談より

Community-Building (EN); 社群營建 (TCN); 社群营建 (SCN)

By Yen-Chia Chen & Hiroo Suzuki

March 23, 2011

ロースクールへ

            人生とは時に予想していたものとは全く別の展開を見せるものです。ロイド・T・ウィルソン教授(インディアナ大学ロースクール・インディアナポリス校教授)にとっても、それは同じでした。

「法律に興味を持ち始める前、私がなりたかったのは英文学の教授だった。」

ウィルソン教授は学生時代に英文学を専攻し、ワバシュ大学で学位、デューク大学で修士号を取得しました。しかし、当時の文系の新卒学生は、今と同じように就職氷河期を迎えていたのです。一方で、ロースクール卒業生の就職は非常に好調でした。こうして、彼はインディアナ大学ロースクール・ブルーミントン校(現在のインディアナ大学マーラーロースクール )に進学し、法律の分野でキャリアを積み上げることになったのです。

「ひとつの扉が閉じていることは、別の扉が開くきっかけになりうる。」

「私はずっと教授になりたかったんだ。最初に思ったのとはぜんぜん違う分野の教授になってしまったけどね。」

            自分は若いころに素晴らしい人々にメンターについてもらうことができてとてもラッキーだったと、教授は過去を振り返ります。その中の一人であるテッド・ナジャム判事は、ウィルソン教授がロースクールの1年目を終えた後に職を世話してくれた人物で、2人は十数年の後に共同で法律事務所を開くことになりました。ウィリアム・ギャラード判事とウィリアム・ステックラー判事は、教授がロースクールを卒業した後の3年間、クラークとなって教えを受けた人々です。

「彼らの一人ひとりから学んだものは法律の事柄だけにとどまらない。」

「彼らはプロフェッショナリズム、謙虚な精神、人々の尊厳に対する敬意というものの体現者だった。」

 

裁判所のクラーク

            ロースクールを卒業してすぐに、ウィルソン教授はインディアナ高等裁判所で1年間、アメリカ連邦地方裁判所南インディアナ管轄区で2年間、クラークとして勤務しました。 どうして裁判所でのクラークを最初の仕事として選んだのかと聞くと、彼は笑ってこう答えました。

「本当のことを言うと、裁判所でのクラークというものがどういう仕事かあまりよく知らなかったんだ。私が教わった教授たちが、しきりにやれと勧めてきただけなんだ。」

クラークをやってみて初めて、与えられた機会がいかに有意義なものであるかわかったそうです。

「毎日のように私はこの州にいる才能豊かなロイヤーや、とても思慮深い判事たちに会うことができた。」

今過去を振り返ってみると、クラークを最初の仕事に選んだのはまさしく最良の選択だったと彼は考えています。

「クラークとしての仕事は私という人間そのものにとても良い影響を与えたと思う。だから、私はどの学生にも、将来どんな職を目指すにせよ、クラークの仕事は最高の土台になると言って聞かせるんだ。」

 

ロイヤーへの転進、そしてロースクール教授へ

            裁判所でクラークとして3年間勤務した後、ウィルソン教授はロイヤーとして8年間仕事をしました。彼はインディアナに拠点を置く法律事務所のパートナーとなり、教職に転進する以前には、ブルーミントンの事務所を共同設立者となりました。ロイヤーとして仕事をする中で、彼は法律というものを今までとは異なった新しい視点で見つめるようになったのです。

「私は学生として、裁判所のクラークとしてしか、法律と接したことがなかった。しかし、民間のロイヤーとなることで、新しいチャレンジや喜びを知ることになった。」

            ロースクールの教授となることで、ウィルソン教授は法律に関する第四番目の視点を手に入れることになります。アメリカにおける不動産取引の第一人者として、彼は不動産法と土地利用法の分野を専門に研究を進めました。不動産法や土地利用法という分野の面白さについて、教授は「コミュニティー構築のための機会をたくさん提供してくれること」と語ります。また、教授がこの分野に興味を持つもう1つの理由は、彼の過去の経験にありました。

「私がこの分野の面白さに気づいたのは、ナジャム氏との交流のおかげなんだ。彼のクライアントが不動産ファイナンスや不動産開発のプロジェクトを抱えていて、私もそれにかかわることができたんだ。」

            ウィルソン教授が「コミュニティー」という言葉を使うとき、それには2つの意味がこめられています。1つは都市や町というレベルのコミュニティー、もう1つは個人レベルのコミュニティーです。

「自治体が都市計画を策定することによって、市民の生活の質が決まってくる。真剣に仕事に取り組んでいる開発事業者は、そのプロジェクトによってその町や市民生活が今後数十年にわたってどんなものになるか、わかっているんだ。」

個人レベルの「コミュニティー」ということについて、教授は、「不動産法というのは人間関係の発展や、住民の権限強化、地域の活性化を行うための強力なツールになりうる。」と説明します。彼にとって、「コミュニティー構築」という言葉に含まれている2つの意味は、自分自身の経験を次世代に伝えていく理由にもなっているのです。

国際交流活動

            ロースクールで教鞭をとる傍ら、ウィルソン教授は国際法関係の活動にも携わっています。アジア法研究の支援し、個人レベルでの国際交流を促進したいと考えるウィルソン教授は、アジア法共同センター所長を務め、中国法サマープログラムの監修をしています。今世界で非常に活気のあるアジア地域の法律を研究することは特に興味深いと彼は考えています。

「経済的、政治的、社会的に、今アジア地域では多くのことが起こっている。」

教授がアジア地域に興味を抱くのには、彼が持つ国際的な人脈にも理由があります。
海外の人々と実際に会って、食事をともにし、彼らの日常生活や日々の関心事が我々とほとんど同じことを理解したなら、彼らに対して偏見を抱くことなどなくなるというのが、教授の考えです。

「海外を旅するのは、もう1つのコミュニティー構築になる。私が学生に夏の海外研修プログラムを勧めるのは、まさにそういう理由からだ。」

            インディアナ大学ロースクール・インディアナポリス校が主催する中国法サマープログラムの特徴は、このプログラムが中国人民大学法学院と長い協力関係によって作られ、両校の個人レベルでの交流が進んでいる点にあるとウィルソン教授は強調しました。

「この質の高い協力関係が、サマープログラムを素晴らしいものにしてくれる。当校は、中国が門戸開放政策を開始した後に初めて現地でのサマープログラムを開講したロースクールの中の1つだ。中国人民大学法学院と協力関係は、当校が持つ国際的なパートナーシップの中でも一番長いものになっている。」

中国でも屈指のロースクールである中国人民大学法学院との協力関係は、インディアナ大学ロースクール・インディアナポリス校に大きな利益をもたらすと教授は考えています。*

            両校の協力関係は、個人レベルでの交流を促進します。中国人民大学法学院でプログラムの受け入れを行う丁相顺氏は、インディアナ大学ロースクール・インディアナポリス校のLLM卒業生であり、かつてウィルソン教授に師事しました。

「丁氏は中国人民大学法学院で准教授として、法学院の渉外部長をしている。そして、彼は私のとても親しい友人だ。」

学生たちへのアドバイス

            ロースクールで12年、ビジネススクールで2年、学生を教え続けてきたウィルソン教授は、教授という職業を心から愛しています。

「学生が、彼らの内面から湧き出る真価と情熱を発揮して、素晴らしい成果を上げるのを見続けていたい、というのがこの職についている大きな理由だ。」

将来法律の分野を目指す学生に何かアドバイスはないかと聞いたところ、彼は自分が就職をしたときには今のように厳しい時代ではなかったから、多くを語るのは控えるべきかも知れないと答えました。しかし、もし自分が1つだけアドバイスするなら、「厳しい時代でも自信を持て」と言うだろうと付け加えました。

「私は人生の中で少なくとも2度、ロースクールの学生が就職氷河期を迎えたのを見てきたが、両方ともその期間は短く、氷河期の後には好調の時代を迎えたものだった。」

法律の知識というのは、ビジネス、政治、NPO活動など、さまざまな分野に応用が利くということも認識しておくべきだと、彼は強調しました。

           

            最後にウィルソン教授は、学生はロースクールでの生活と他での生活のバランスを取るべきだと語りました。

「私の母校であるワバシュ大学は学生と卒業生に『批判的に考え、責任を持って行動し、効率よく人を導き、人道にかなった人生を送るべし』という教訓を課している。我々の人生の大きな部分はそういう行動のために使われるのだということを、我々は確かめられると思う。」

* 中国人民大学法学院のウェブサイトの情報によれば、同法学院は中国政府教育部が定める2004年、2009年、2010年のロースクールランキングにおいてトップとなっている

 

 

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